ライフセトルメントとモラル

「ライフセトルメント」ファンドは、日本人の倫理観と相容れないものがあるかも知れません。日本の保険会社が保険契約の第三者への売買を認めないのも、倫理上の問題が大きいような気がします。「生命保険」に対してすら嫌悪感を持つ世代がいまだにいるのは、やはり倫理観の問題なのでしょう。

「ライフセトルメント」の金融商品としてのスキームは、言ってしまえば「他人の命」によって利益を得る投資です。投資家は、被保険者が早く亡くなれば亡くなるほど利益率が上がりますから、「他人の死」を願うインセンティブが働く可能性も否定できません。極端な話、そこに何らかの「不正」が関与する余地が生まれます。

このような性格を持つ「ライフセトルメント」なので、スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)やムーディーズ・インベスターズ・サービス、フィッチ・レーティングスと言った三大格付け会社から敬遠されているようです。そのため、「ライフセトルメント」を扱う投資銀行の中には、このような大手ではなく小さな信用格付け会社のレーティングを取得しているという話もあると聞きます。このことは、投資家にとってリスクと考えられます。

しかし、「生命保険」自体が「人の死」を前提としたものである以上、それをセカンダリ―市場で売買することがモラルに反するとは言い難いと言えます。

被保険者の立場に立ってみると、通常の生命保険の場合、余命半年であれば「支払特約」が付いている場合がありますが、そうでなければ途中解約した場合に受け取ることのできる金額は微々たるものです。

それに対して「ライフセトルメント」は、被保険者の保険内容や健康状態、年齢などからシビアに査定して買取金額を決めますが、買取金額は途中解約して受け取る金額よりは上回るのが普通です。被保険者としたら、セカンダリ―市場で「ライフセトルメント」した方が多くのお金を手にできます。

それで、HIV感染者らは治療のためにライフセトルメントを活用しました。

また、別のパターンでは保険料の支払いが難しくなり「ライフセトルメント」することもあります。この場合も途中解約するよりは、多くのお金を手にできるので被保険者にとっては良い選択と言えます。

「生命保険」の売買は、日本人のモラルに反するかもしれませんが、被保険者には利益があることを考えると人助けになっていると言えなくもありません。

一概にインモラルとは言えないのではないでしょうか。

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